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第68回(1999年度第12回)ISM研究会

日時:02月20日(日曜日)
      14:30〜

場所:法政大学大学院棟(市谷)
      803教室

TEXT:『雇用不安』
      野村正實著
      岩波書店(岩波新書567),1998年7月

範囲:第4章,終章

報告:浅川雅巳

※引き続いて野村さんの『雇用不安』を検討していきます。前回は現代の中で
の「前近代」の位置付けが問題になりました。

 「全部雇用」とは,貧困の真っ只中での低失業率──という戦後日本の現状
──を説明するための枠組みのことです。これによると,同じく失業が存在し
ないと言っても,完全雇用下では各被雇用者は最大限の生産性を達成し,また
賃金に満足するのに対して,全部雇用下では各被雇用者は最大限の生産性を達
成しないし,また賃金に満足していないそうです。戦後日本の現状に即して言
うと,要するに農村が景気循環のバッファーになり,農村で実際には潜在的過
剰人口が存在しているのにも拘わらず,統計上では失業するべき人口が農村に
吸収されているという事実に,この議論は基づいていたそうです。

 さて,高度経済成長の疾風怒濤の中で,この「全部雇用」論は忘れ去られて
しまいました。そして,現今の不況下では,規制緩和による日本経済の復活が
叫ばれています。ところが,規制緩和が進むと,既存の雇用関係を破壊せざる
を得ません。これに対して,著者は規制緩和(高失業)と全部雇用(低失業)
とを対置させて,古い雇用関係(全部雇用)を維持・復活させながら,なおか
つ新しい社会(公正な社会)に向かって進むという戦略を提唱しています。

 今回の範囲について言うと,第4章では,規制緩和の波の中で全部雇用論が
いかに衰退していき,またこの衰退が現在の日本にいかに悪い影響を及ぼして
いるのかということを説明しています。終章では,完全雇用に向かうためには
規制緩和に反対して全部雇用を維持・復活させなければならないということ,
そしてそれを通じて新しい公正な社会を築かなければならないということを主
張しています。

 なお,今回も会場は法政大学大学院棟(市谷)です。どうかご注意くださ
い。

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 なお,1999年度の研究会は今回で終わる予定です。次年度に取り挙げてほし
い──あるいは取り挙げるべき──テキストがありましたら,お教えくださ
い。
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る一般的な文字コードしか用いていません。ですから,そのような症状を経験
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