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佐々木君,ISM研究会の皆さん,今井です。佐々木君,お返事,どうもあり
がとうございます。
申し訳ありません,“On the Conference Of SINKEN”では,誤解を招く表
現がありました。最初に先ず,その点について,補足いたします。
>独占の時代には、「特定の人間達」が、例えば金融制度の変革に関し
>て、いかに大きな影響を及ぼしているのかということを強調します。
これはまぁ,マルクス経済学者のお馴染みの態度だと思います。それでした
ら,俺も感慨を覚えはしなかったでしょう。レジュメを見る限りでは,信研の
報告者は,一名を除いて,「特定の人間達」のことを問題にはしていません
(もちろん,普段彼らがどう言っているのかは解りませんが,少なくとも報告
ではそういうことを問題にしていません)。
「特定の人間達」を問題にする人たちは,そういう仕方で,体制変革論を展
開しようとしているのだと思います。けれども,少なくともレジュメを読む限
りでは,信研の報告者の方々には,体制変革なんていう問題意識はこれっぽっ
ちもないように感じられました。
>つまり彼らの社会把握には、実のところシステムが出てきません。そのような担
>い手を、突き動かすシステムがないんです。全能の悪魔はシステムを乗り越えたと
>ころで、システムを操るような存在ということになるように思います。
佐々木君もご承知のように,システムとその担い手とを機械的に分離する立
場は,一方では担い手全能論(佐々木君がおっしゃる「システムを乗り越え
た」「全能の悪魔」の立場)に,他方ではシステム全能論に分かれます。人格
と物象について言うと,“この世のどこかに,この世を支配している人間がい
るに違いない”という人格の個別性に固執する立場と,“人間なんてみんなシ
ステムの奴隷だ,市場メカニズムは自動的に機能しているのだ”という物象の
一般性に固執する立場です。この二つの立場は,分かれると言っても,所詮,
システムと担い手とを機械的に分離するという同じ一つの出発点から出発して
いる双子の兄弟である以上,直ちに他方の立場に移行します。
この点が今一つ確信を持つことができないのですが,恐らくは,信研の報告
者の人たちは,寧ろ逆に,システム全能論の立場に立っているように感じまし
た。もちろん,上で述べたように,両者の立場は直ちに移行するべきものです
から,システム全能論の人たちも,佐々木君がいつも経験していらっしゃる,
「全能の悪魔」の立場(担い手全能論)に移行するのでしょう。
以上,俺の投稿では不明確だった点について補足しておきました。どうも申
し訳ありませんでした。
>そのような特定の人間
>達を告発しつつ戦うことが、具体的な闘争であり、変革に通じると考えているので
>はないでしょうか。
「特定の人間達を告発しつつ戦うことが、具体的な闘争」の一局面「であ
り、変革に通じる」ということは疑いがないと思うのです。なにしろ,システ
ムの運動と意識とを担うのは具体的な個人(およびその集団)ですから。問題
はその位置付けだと思うのです。特定の人間達を告発しつつ戦うことが」直接
的に「変革」そのものである──そもそも社会変革というのは「特定の人間達
を告発」することである──というように位置付けられると,結局のところ個
人あるいは集団への責任転嫁に終始して,変革されるべきであるのがシステム
そのものであるということが忘れ去られてしまいます。──恐らく佐々木君が
主張したいのはこういうことだと思うのですが,重要な点なので,一応,補足
しておきました。
それはともかく,中央大学でのお話し,面白かったです。皆さん(もちろん
俺も),どこでも佐々木君と同じような体験をしているのではないでしょう
か。
>ところでこの会というのは、正式会員でないと出席できないのでしょうか?
この点については,案内には何も書かれていませんが,いやしくも学会を名
乗る以上,公開のものと考えて宜しいと思います。つまり,学会員であろうと
あるまいと出席することができるはずです。
>そう言えば、信研にはわたしはまだ入ってないのですけど、入るのはどうすれば
>いいのでしょうかね?
確か推薦人が二名だったと思います。推薦人の氏名を添えて,飯田裕康さん
のところに郵送すればいいはずです。もし入会の意志があるならば,おっしゃ
っていただければ,俺と大谷さんが推薦人になります。
>学会費が高ければ止めておこうかとも思いますが、こちらの
>方も情報をお持ちの方お願いいたします。
年会費で7,000円のはずです。